昭和聖徳記念財団について

会長挨拶

このたび綿貫前会長の職を引き継ぎ、会長に就任いたしました。

財団法人昭和聖徳記念財団は、昭和天皇のご聖徳をたたえ、そのご事績を広くかつ後世に伝えるため、平成3年12月、文部省(現在の文部科学省)の認可を受けて設立されましたが、平成23年3月に内閣府の公益認定を受け同4月に公益財団法人に移行したものです。平成17年11月には「昭和天皇記念館」が開館され、まもなく15周年を迎えようとしています。

昨年5月には、平成から令和に御代が替り、新しい時代が始まろうとしています。しかしながら、昭和天皇のご事績を知らない世代も増え、当財団に課せられた使命は益々重要になってきております。かかる時期に当財団の会長に就任し、身の引き締まる思いですが、全力を尽くしてまいる所存ですので、皆様方の一層のご協力とご支援をお願いしたいと存じます。

令和2年7月1日

公益財団法人昭和聖徳記念財団
会長  伊 吹 文 明

設立趣旨

   昭和天皇の御在位は60有余年とわが国史上例をみない永きに亙りましたが、この時代はまさに波瀾と激動の連続でありました。

   この間、昭和天皇は国民と苦楽を共にされながら、国民の幸せを願われ日夜お心を砕かれたのでありますが、特に終戦のご聖断によってわが国は辛うじて破局を免れることができたのであります。

   昭和20年9月、マッカーサー元帥との会見において、ご一身を投げ出されて国民の救済を求められた大御心が元帥をいたく感動させたことは、今や大方の人の知るところであります。

   また、昭和天皇は昭和21年2月の川崎市を皮切りに、9年間にわたって全国各地をご巡幸され、戦禍に打ちのめされた国民を鼓舞、激励されました。 これは陛下ご自身の強いご意向によるもので、ご健康などは一切斟酌されず、ときにはご料車の中で宿泊されるほどの強行日程の中、鉱山の坑道深く入られたり、赤銅色の顔をほころばす漁師に声をかけられたり、戦災孤児に優しく手を差しのべられるなど、温かくそして力強く国民を励まされました。

   わが国が戦後40年余の歩みのうちに今日の繁栄を築き上げたのは、国民の努力の賜ものであることは勿論ですが、同時に昭和天皇の大御心が民心の安定と活力の源となっていることを忘れることはできません。

   昭和天皇のもとで「昭和」の時代を生きてきた私たちが、様々な形や方法でご聖徳を永く後世に伝え継いでいくことは誠に意義深いことであり、またそれは私たちに課せられた責務であると考えて、昭和聖徳記念財団を設立いたしました。